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鬼子母神診療所から…在宅看取り
「甘い物が3度の飯より大好きだったご婦人」編
鬼子母神診療所
所長 高岡 和彦 

生協組合員の皆様、寒い日が続きますが体調は大丈夫ですか?
インフルエンザのシーズンも峠を越え後は桜の花の開花を待つばかりです。

さて、今回は「ちょっと困ったご婦人のお話です」(実例を参考に架空の設定です)。

今回の主人公は78歳の女性です。昔から甘い物には目が無く、常に楽しくお喋りをしているか甘い物を食べているかで、口を良く動かすご婦人でした。「あんたも一つどうだい」が口癖でした。
若い頃に受けた健診で「糖尿病の疑いがあるので、口を動かさずに体を動かしなさい」と医者に言われてから医者嫌いとなりました。手足の痺れは10年前からあり、最近ではテレビも見えづらくなってきました。足の潰瘍も悪化し民生委員からも病院への受診を勧められましたが頑なに拒否されました。
ある寒い日の朝、右手足の動きが悪くなり呂律も回らなくなってきたので救急搬送されました。医師からは糖尿病からくる脳梗塞・狭心症・腎不全・足の壊疽・神経障害と言われました。また、インスリンで治療しなければ足は切断で透析が必要と言われました。一人暮らしで天涯孤独の身の上には辛い宣告でした。

食事・運動・インスリン治療を頑張って退院となりましたが、足の壊疽は悪化し菌が体内に侵入し高熱を認め再入院となりました。医師から下肢切断を提案されたが拒否し住み慣れた在宅での治療をご希望されました。
足の消毒は訪問看護師が毎日行いました。身の回りの介護はヘルパーさんが毎日、午前・午後の2回来てくださいました。夜間に高熱やトイレ介助の為に臨時訪問もして戴きました。医師は、訪問診療として毎週水曜日の午後に来てくれました。先生が背中を摩り、握手をして励ましてくれました。
病状は少しずつ悪化し、夕方になると高熱を認め、寝たきりの状態となりました。スタッフの間からは入院治療の声が出ましたが、本人は最後まで在宅での治療をご希望されました。
ある晴れた日曜日の午後、ケアマネさん、ヘルパーさん、訪問看護師に看取られながら最期を迎える事が出来ました。安らかに眠っているそのお顔は、何だか微笑んでいるようにも見えました。

「終末期を在宅で迎える一人暮らし患者」に対して患者の意志を尊重し、多くのスタッフが連携し、それぞれの専門的立場から濃厚に関わる事で、安心して「自宅でのお迎え」が出来ると思います。一人で悩み・抱え込まないで皆で問題点を共有して対応する事が「私たちの目指すチーム医療」だと思います。安心してください。