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鬼子母神診療所から…在宅看取り
「転倒・骨折から寝たきりとなった男性」編
鬼子母神診療所
所長 高岡 和彦 

生協組合員の皆様、こんにちは。威勢の良いお祭り事や風鈴の音が涼を感じる季節となりました。いよいよ暑い夏の到来です。こまめな水分補給とエアコンや扇風機、夏用の衣類で熱中症予防を励行してください。健康診断や肺炎球菌ワクチンなどの予防接種など受診券を確認して有効期限内に受診してください。

さて、今回は「妻と死別後より独居となり、食事も不規則で痩せて足腰も弱り、認知機能低下からフレイル(虚弱)となり、転倒骨折から寝たきりとなったお爺さん」をテーマに「在宅看取り」の一例をご紹介いたします(実例を参考に架空の設定を行いました)。
今回の主人公は90歳の男性です。2人の息子は結婚し地方都市でそれぞれの家庭を築き、年に1回程度孫を連れて帰省します。妻は10年前に乳がんを患い自宅にて最後を迎えました。自宅で最後を看取れた事で妻への恩返しが出来たと喜んでいました。少しずつ食生活も不規則となり痩せて足腰も弱って外出も少なくなりました。年齢相応の物忘れも目立つようになりフレイルと診断され、食事指導や週2回のデイケアも通所するようになりました。自宅での転倒・腰椎圧迫骨折から寝たきりの状態となり要介護5と判定され、ヘルパー・訪問看護・訪問診療が導入されましたが、繰り返す誤嚥性肺炎で体力の消耗も高度となり老衰状態となりました。
ケアマネジャーより「お爺さんは口には出さないけど、奥様を看取った時のように、終末期を自宅で迎えたいみたいですよ」と連絡が入りました。早速、長男夫婦を呼んでケアカンファレンスが開催されました。週末は交替で家族が看病し、平日はヘルパーと訪問看護師が24時間体制でケアに当たりました。医師は月2回の定期訪問を毎週に増やしきめ細かい対応を心がけました。また、家族の不安や相談事にも積極的に対応しました。日曜日の朝、大勢の家族やケアマネジャー・介護スタッフ・訪問看護師が看守る中、静かに旅立たれました。そのお顔は非常に安らかで笑みも感じ取れました。仏壇に飾られた亡き奥様の遺影も微笑んでいました。

「終末期を在宅で迎えたいと思う患者とその家族」に対して患者・家族の意志を尊重し、多くのスタッフがそれぞれの専門的立場から濃厚に関わることで安心して「在宅でのお迎え」が出来ると思います。一人で悩み・抱え込まないで皆で問題点を共有して解決することが「チーム医療・多職種連携の基本」だと思います。安心してご相談ください。